9月9日、増上寺子院の廣度院練塀見学会に参加してきました。
今回の公開は、9月8日、9日の2日間の開催予定でしたが、台風の接近による大雨で、8日は講演のみで実物の見学はできなくなり、9日の時間枠が大幅に増加されて、申込登録時間にかかわらず、時間を変更して見学できることになりました。
私は、9日9時開始の枠で参加しました。当会からは10名前後の方が参加されたと思います。
廣度院本堂で45分ほどの講演を工学院大学客員研究員の菅澤茂様と廣度院副住職の西城千珠様からいただき、その後、練塀の北端の工事部分の見学をしました。
廣度院の練塀で特筆すべきことは、江戸幕府の棟梁家である甲良家が残された、標準工法兼工事単金表とも言うべき、「塗師方壁方瓦方当時物并本途」に記載された工法図面にピッタリ合致していることです。
今回の解体で、構造が確認されたのと、分解してみたら中には少しもヒビや崩れている所がなく、水はけを考慮した設計と手抜きのない工事が確認されたとのことです。
9日も多少雨が残っていたので練塀の現場はブルーシートの裾を上げて中を覗くことになりましたが、甲良家の図面に近い形が確認できました。
講演では、増上寺三解脱門の両脇にも同じ外観の練塀が一部に残っていることや、明治初期には増上寺敷地内にも数百メートル練塀が残っていたことなどが紹介されました。
また、江戸時代の浮世絵には色々な場所に練塀が書き込まれていて、この練塀が江戸市中に標準的に採用されていたことが紹介されました。谷中にも同様に練塀がありますが、オリジナルが完全に残っているのは廣度院だけではないかと言うことです。(両方とも国の登録有形文化財)
当日は全体で200人程度の見学者があるということでしたが、各自にしっかりとした配布資料が用意され、プロジェクターを使った講演もとても興味深く為になりました。
今後東京文化財ウィークにも公開を予定しているそうです。(M.H)